先日ご来社したお客様と素材と施工についてお話を。興味津々に話を聞いてくださり、私も楽しい時間と相成りました。
木造の建物を建てるなら、展示場より先に行って欲しい所があります。
築何百年も経過した木造建築物を見に行く。観察する。木に触れてみる。どうしてこんなに長く建っているのか?を疑問に思う。私はよく言いますが、この名古屋地方なら犬山城でしょう。h
国宝犬山城は、室町時代の天文6年(1537)に建てられ、天守は現存する日本最古の様式です。とHPに書いてある。2016年-1537年=479年前の建築物。当時の柱、梁、桁がそのまま残っている。鉄筋コンクリートだったら残っていないでしょうね。その使われている木材は、桧、杉、松、栂など。集成材だったら500年近く接着剤で維持管理できたのでしょうかねぇ・・・
おそらく剥離すると思うのは私だけではないと思います。内部の武者走りの見事な事。
1階の穴倉。
太い梁が重厚感あるね。丸太の梁は松、柱は桧だったかな?上の写真に注目。大きな木が割れていますよね。木は必ず割れるのです。自然乾燥した木材は表面に割れが出る。割れがあるのに、500年近く現存。割れても強度が下がらない証拠です。割れていない木がありますが、それは人工乾燥材の強制乾燥材。表面は割れないが内部割れがある。これは大工としては???です。大工さんは知っています、割れていない木はあっという間にカットできて、釘もサクサク入ってしまうことを。自然乾燥材はこれとは違います。犬山城が自然乾燥材で建てられて500年近くもあるように、我々もそれと同じ材を使います。そして木の原理原則(木材がいつも新しい空気に触れていること)通りに、手塩にかけた職人の技が組み合わされば相当長持ちしてくれます。
★木は自然に流れる空気を好む。
★湿気が淀まないところでは木は傷まない。
★石の吸水率は0.1~0.2%。コンクリートの吸水率は5~10%。だから石の上に木を置いて天守をつくっているのは大正解。石からの湿気がほとんどないために、木はいつも乾燥状態。長持ちする、当時はコンクリートはなかったけどね。木のそのままの特性を知り、適材適所で使うのが職人。木に細工をする…たとえば高温乾燥で一気に乾かしたり、集成材にしたりすると、職人の知恵は活かすことが出来ない。そのままの素材がいいのです。サラダの野菜は生のままですよね。茹でません。茹でるとサラダとは言いません。木も同じです。生のままで使い、手練れ職人によって適材適所に配置される。だから長持ちする。家はまず長持ちしないと意味がありません。次世代、次々世代に負の遺産にならないよう、お客様の価値観がすごく変わってきたこの数年ですが、原理原則に基づいた木の家をつくることに一切のブレなく貫きたいと思っています。
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