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杉を使い始めた動機

私のデスクから見た事務所内。

杉の梁が美しい。いつもしばし眺める。樹齢80~100年でしようね。


思い起こせば四半世紀以上前から杉の梁を採用している。
建築の常識で杉は梁には適さないと誰れもが言ってたよ。
梁は栂か松だ!!!と。

栂は松と似たような樹形をしている。年輪はとても密。写真はネットから失敬しています。

松は誰もが知っているようなくねった形。

どうして梁という横架材に使われるかと言うと、たわみに強いからです。
年輪が密、曲がりがあり、上からの荷重を支えるにはうってつけ。

古建築を見ると、まさにその通りで杉の梁は見ないです。

杉は通直。とにかく真っすぐ育つ。
年輪は密なものも粗のものもある。
桧と同様垂直材によく使われます。たわみには弱いからダメと言いますが、サイズを大きくすればそれで栂や松に対抗できます。

そしてもう一つの動機は、戦後国儒のために大量に植林された杉、桧が山林に大量にあるということ。
裾から7~8合目ぐらいまでは杉、その上は桧というのが植林の定番です。

桧の方が育ちが遅いので陽当たりの良い山頂近くに植えると言う理由です。
山間部を走ると杉が枝打ち、間伐もされずに放置され、下草も伸び放題で真っ暗な森ばかり。
当然手入れされない杉材は育ちが悪く、地中に大きく根を張らないので保水力が落ち土砂崩れの要因にもなっていました。

おまけに花粉という言葉が出てきて、使ってあげれば花粉が少なくなるじゃん・・・とも思ってます。
そして林業の大きな衰退。
森林国家なのに、輸入材ばかり使っている。私が若い頃もそうだったし、最近は大半が輸入材ばかり。
そりゃ樵、製材所が減るに決まっています。
国産材を使わないと山が荒廃し、山から土が流れ出し、下流の暮らしを脅かすことになる。
ならば杉だ!と一念発起してあちらこちらに当たったけど、誰も相手にしてくれず。
「それは無理だ」の一点張り。
森林組合はたくさん行きましたねぇ。
何とか一つの組合がトライしてくれてようやくスタート。当初は岐阜県産でしたが、今は愛知県産です。

愛知県の森林組合なんて「けんもほろろ」だったのを思い出す・・・

山を守り、暮らしを守るためにも国産材を使いましょう。それも地元材。
わざわざ九州から持ってくるエネルギーロスも考えないと。地産地消。
昔の棟梁の家づくりはまさにこれ。
地元の材を使って、地元の職人が、地元の家をつくる。
これが工務店の原点。
ぶれずに行くよ。


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