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思い出を受け継ぐ

昨日は建て替え新築工事のご契約がありました。
今のお住まいは昔の大工棟梁が丁寧に建てた家。
しっかりしているよ。
屋根裏は桧芯持ち垂木に無垢野地板。劣化無し。

丸太と梁を緊結する大鎹。丸太もしっかりと皮が剥かれている。皮が残ると虫が沸く。
だから皮を全て剝くのですが、これをやっていない家もよく見かけますぞ。

私が大工小僧の時は、丸太の皮が全てなくなりツルツルになるので散々やらされたものです。

少しでも残っていると怒号が飛ぶもの。

床の畳の下地には印字があるように栂材を使っています。
日本の栂材。本栂と言います。栂は硬い。水にも強い。だから畳下地で使われますが、大半は杉板です。ここにも当時の棟梁のこだわりがあると感じます。

当時の床下はやはり低いよね。これが普通だった。でも湿気は全然なし。土台の桧、大引きの桧も新品同様で解体してしまうのが勿体ない気もしますが、こればかりは仕方ありません。

玄関部分。

柱は桧、天井は目透かし天井、壁は腰から下が洗い出しで上は左官コテ仕上げ。

日本の家ですよねー。
洗い出しが上手な事。いい棟梁にはいい左官がつく。類は類を呼ぶと言いますが、まさにそれ。

ダメ職人にはダメが集まる。
いい棟梁は目利きができるから、いい職人が集う。これは定番です。
うちの会社の職人さんもとってもいいですよ。私がこんな人だから(笑)
いい職人もどんどん減ってしまい、あと20年もしたらまともな棟梁いなくなる気がする。
そうなると左官や他の職人も同じようにどんどんと腕利きがいなくなる。心配です。

このお住まいと変わらない良材+良品質施工+質の高い職人さんで建替え工事をスタートします。
まずは解体から。
解体前日には潜入して使えそうなものを外してくる予定。
泥棒みたいだけど、思い出の染み込んだものを再利用する意味は、その材がその家族の暮らしを見つめてきた証人だからです。
家族の思い出を新しい家に吹き込む。こういうことを忘れないようにしていきたいと常々思っています。

栂材、薄板だけど何かに使えるかなー・・・思案しましょ。

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