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不動産業界を一考

 建築士の資格を取ったのが21歳の秋。東海工業専門学校の夜間に2年間通って受験資格をもらって一発合格。
宅建主任者の資格を取ったのが23歳の秋。宅建は独学で取得しました。過去問5年間のものを5回繰り返して合格。建築士の時も専門学校の先生が過去問5回やれ!!と指令を受けて時間を見つけてはやってましたねー。

宅建も取得したのでいつかは不動産もと思っていましたが、裏がドロドロの世界でびっくり。

「生き馬の目を射抜く」のが不動産業界と言い放つ人もいて、まじめにコツコツやっている大工の職人からすると天と地の違いを感じる世界でした。
その後も不動産屋と接する機会は多く、都度げんなりすることの繰り返しでした。

ある分譲住宅の造作のお手伝いに行ったときのこと。
丁寧に押入の下地をつくっていたら、監督がやってきて「そんな丁寧にやるな。真ん中一本ずつ飛ばしてやってくれ」といきなり言われるではないですか。

「そんなことをしたら壁の板がペコペコするけど・・」と言うと「いいんだよ、分譲だし、俺が住む家じゃないから」と即答されてびっくり。びっくりするどころか、悲しくなった私です。

不動産屋の監督です。あきれてしまって「こんな人たちの手伝いはできない」と悩んだものです。
そういうことは絶えずあり、この人たちと縁切りしたくて会社設立したのが28歳の時。

当然不動産業界なんぞには、一切かかわりたくないから工務店一本でした。

不動産業をスタートするにあたり決めたことは「ウソダメ」「家づくりのプロとして誠実にお応えする」「売りたいがために小細工しない」「買う人の身になって」でした。
不動産業界は売り主第一の世界です。
売り物があれば、買う人はいくらでもいるというのが常識の業界。
売主さんから依頼をもらうためには、あらゆる手段を使う。査定を高く見せる(そして売れないから減額していくのです)、他社よりもネームバリューが(関係ないです、お客様から売却依頼のある物件はレインズという全国の不動産屋が見れるサイトに情報掲示され、買いたい方とマッチングできます)という常套文句を使います。
売り主さんから依頼をもらって考えることは、売り主さんから手数料、そして買主さんからも手数料をもらう両手戦略です。
一つの仕事で3%の手数料なのか、6%の手数料なのかという話です。
6%欲しいがために、別の不動産屋さんから買いたい人がいても紹介しないことがしばしば。

我々も買付というものを先方の不動産屋に出しますが、売り主さんが売れないとかウソを言って、買付に書いてある電話番号に直接電話して「直接なら買えます」と連絡する営業がいる。
信じられないでしょうが、よくあります。
中小零細の不動産屋さんは、こういう苦い経験をしている方が多い。お客様を取っていくのですから、泥棒ですよ、この手の類は。こんな卑怯なことをしていて幸せになれないです。
自分の奥さんや子供たちに誇れる夫であり、父であって欲しいが、嘘つきでは無理だよね・・・
業法違反を普通にやる人たちなので困ったものです。

そんな業者が幅を利かす業界ですが、中小零細の不動産屋はまじめにやっているところが多いですよ。
規模ではなく、その会社のスタッフの誠実さ、会社に行ったときの雰囲気、代表者の人となりを確認して「良いな」と思ったら依頼されるのが賢明です。
査定価格で釣られないように(笑)、ネームバリューが・・・という自慢話に勧誘されないように・・・

先日、中小零細の不動産屋さんが集まる会に行ってきましたが、皆さん真面目です。
顔を拝見してても誠実さが伝わる人ばかり。
頑張っている不動産屋さんは数多くある。依頼される前に訪ねてみて、雰囲気、人となりを感じて、そのうえで依頼されるのをお勧めします。


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